2013年2月12日火曜日

サラ・ファネリのイラストに潜む西欧の思想


サラの描くキャラクターにコラージュで人間の「目」の写真をコラージュされている。
動物なのに人間の目が貼っているというのは始めは面白い表現だとだけ思っていたが、
ある時違和感を覚えた。
それは、「動物を人間化」しているように見えたからだ…



サラ・ファネリのイラスト



そう感じたのはヨーロッパの宗教観や思想が強く作り手に影響しているのではないかと感じたからだ。
ヨーロッパでは広くキリスト教が信仰されている。
キリスト教の考えの中に人間が生物の中で一番優れているという考えも含まれている。
ユダヤ教、キリスト教の創造観は、旧約聖書の創世記に述べられている。


その中で神は人間に対して、

「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。
         海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ」 

と命じている。


もう一つ、ヨーロッパの宗教観や近代の思想や芸術に大きく影響を与えたのが、古代ギリシアで生まれた「ギリシア神話」だ。
ギリシア神話にでてくる神々は人間の形をしている場合が多く、人間の能力の理想像を表している。
ギリシア人は神に近づくように努力することが生きる目的だと考えていた。
人間との関係性が明確で人間の能力を最大限まで発揮することが目的というのが根本的にある。
建築や絵画のモチーフによくオリュンポスの神々はよく取り入れられている。
例えばギリシャ共和国のアテネでは女人像柱がある。


エレクテイオンのカリアティード・ポーチ(紀元前421年-407年)



西欧では、歴史を通して様々なものに理想の人間像を組み込んできたと言える。
そもそも神の形が人間というのは、かなり人間社会を意識されて作り出された思想だということが感じ取れる。
「人間」というモチーフを意識的にも無意識的にも作る傾向があるのかもしれない。

そしてサラの場合は絵本作家であるため、このようなビジュアルは子ども達に無意識的にでも影響を与えているのかもしれない。
たとえそれがそれ自体では大きな主張にはならないかもしれないが、他の要素と組み合わさって影響していく可能性もある。



一方で日本では昔から八百万の神が信じられており、自然崇拝とも深く結びついている。
自然とともに生きてきて一つ一つのものを敬い感謝するという思想がある。

日本には鳥獣戯画があり、擬人化されている動物達が描かれている。
ユーモラスに描かれた動物達はある意味自然のままを受け入れており、微笑ましい感じがする。



鳥獣戯画(1100年-1200年)/日本最古のマンガとも称される



また、日本にはたくさんのキャラクターがあふれている。
様々な物を神として認識するという民族性がキャラクターなどに命を吹き込める想像力を持っているとも考えられる。























日本にあふれるキャラクター/東京にて撮影

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